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北欧暮らし。色んな人の色んな目線で。

rie - オスロ最後の和菓子イベントと、ノルウェーを出てからのこと

どうも。立て続けの投稿失礼します、rieです。

 

 

たぶん、これがわたしのオスロで書く最後の投稿になると思うので、温かい目で見て頂ければ嬉しいです。相変わらず支離滅裂な文章だけど。

 

 

 

さて、わたしがオスロにやってきて、早1年(正確には、ノルウェー入国日からの1年ははもう過ぎていて、UDIから滞在許可が下りてからの1年なので、もう1週間くらい長いわけですが)。

 

初めての海外生活に大奮闘し、心細くなったり、思わぬ手を差し伸べてもらったり、毎日ばたばたと、でも楽しく過ごすことができました。

中でも、和菓子とオスロコーヒーの相性の良さを提案出来たらいいなあってぼんやり思っていたことが、なんと最後の最後で実現しました。

 

 

しかも場所はあの(?)Fuglen Oslo にて。

 

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(この写真を撮影しに外へ出たら、全然知らないおじさんにいきなり握手を求められた。誰やねん)

 

 

 

完全に周りの協力のおかげで、実現したことです。正直イベントの運営に関してはほとんど何もしませんでした。ほんとうにありがたい限りです。

 

イベントは二部制。午前の部は少人数でゆったりと、夕方の部は日も落ちてきてリラックスした雰囲気で行うことができたと思います。

相変わらず、英語にすら自信がないのと、和菓子にまつわる話は日本語で言いたかったので、通訳をとおしてやらせていただきました。

 

 

作ったお菓子は4種類。

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大皿に載っているのは、手前がりんごの白羊羹、奥がづんだ餅。小さなプレートに載せたのは、牡丹餅、果実と木の実の求肥餅です。

 

 

ここで今更ですが、自分の和菓子づくりの中で大切にしていることを言うならば、家庭でも比較的簡単につくれるものを、伝統的な部分を損ねないよう、でも和の素材にのみこだわることなく、何でも使ってみることです。

だから、本来の和菓子の素材には頻繁に使われないりんごやドライフルーツを使用したり、一方でめっちゃ家庭的なぼた餅やづんだ餅(しかもかなりローカルな食べ物)をあえて作ったわけです。

 

更に、食べる前に(いや、食べながらでも食べた後でもいいんだけど)、和菓子それぞれの由来や小話、素材の話などを挟むことで、より興味を持ってもらえるように努めました。

 

 

またコーヒーに関しては、事前にバリスタの方に試食をして頂き、それに合うものを提案していただきました。試飲会の日、細かく説明をしてくれた後に飲んだそれぞれのコーヒーが、ぴったり和菓子の香りや味わいに合うことに、めちゃくちゃ感動しました。

当日も、北欧、特にオスロにおけるコーヒーの歴史を説明してくれたりと、きめこまやかなケアをしてくださり、大感謝です。ありがとうLudvigさん。

 

 

参加者は、やや日本人率が高くも、ノルウェー人、韓国人、中国人、中東人など、さまざまな方がいらっしゃり、和気あいあいと過ごすことができました。みんなにとってもそうであったといいな。

 

 

 

 

 

そんなわけで、いまやっとひととおりのイベントを終え、荷物もなんとなくまとまり(終わってはいない)、ようやくこれからのことに目を向け始めている、そんな状況です。

 

 

さて。ノルウェーでほぼ1年を過ごし、さまざまな知見を得たつもり(いちおうまとめはこちらの記事にまとめさせていただきました)ですが、今のところわたしがやりたいことが、なんとな~~く出てきました。

 

 

それは、自然の恵みを人の生活に取り入れること。その方法を実践し、現代人の生活にどう取り入れてもらえるかを探求すること。

 

 

その方法はなんでもいいのです。でも、いまわたしがやってみたいなって思うのは、自然の多い環境(しかし、変な話ものすごい田舎ではなくて、都心へのアクセスもそれなりにしやすい場所を検討中)に身を置き、生活する。自分で食べるもの、野菜やハーブなどは自分で栽培し、羊や鶏を飼い、卵や牛乳などは彼らの恵みをいただく。

 

そして何よりやりたいのは、糸を紡ぎ、植物の色で染めること。枝や蔓を編むこと。土や砂、石を触ること。

これらからできる工芸品、または素材そのものを、できるだけ世に広めること。

 

 

といっても、なんとわたしにはそういった経験がほぼ一切ありません。もちろん、体験やワークショップなどはあれど、専門的に学んだことなどありません。

 

 

だから、まずはそれらを知りたい。学びたい。ただ、出来れば大学とかじゃなくって、現地の生活を通して知りたい。

 

 

ということで、わたしは今度、観光ビザの範囲内で東欧諸国(流れはブルガリアルーマニアポーランドリトアニアラトビア)を旅するつもりです。

 

なんでかって、前半の2つの国に関しては、まあシェンゲンを出るためってのもありますが、東欧諸国の文化には興味があるのです。西洋的な、きらびやかで細やかな装飾もきれいだなって思いますが、もうすこし自然的なものに目を向けた形や色遣いも気になる。

メインはリトアニアなのですが、前回の旅行ですでに出会った職人さんたちの話を色々と聞く限り、日本人のわたしに対して、例えば草木染の方なら「日本の絞り染めは魅力的だ」と語ってくれたり、陶芸家の女性なら「去年、穴窯を完成させたの。日本の伝統的な窯の形よ」と目をキラキラさせてお話ししてくれました。

 

そういうのを聞いていると、ああ、日本にも素晴らしい文化がたくさんあるじゃないか、と。改めて気づかされるのです。

 

 

もちろんこの考えに至ったのはノルウェーにいる頃からなのですが、わたしが以前勤めていた和菓子屋では、和菓子のほかに自社ブランドとして器や家具(こちらはほとんど店舗のためですが)を販売しており、その製作者はすべて地方などで熟練の技をもった職人さんにお願いしていたのです。

 

しかし、形は伝統的っていうほど堅苦しくありませんでした。つまり、伝統的な部分(技法など)を残しつつ、でも現代の人々の生活に沿うもの(形、使いやすさなど)を追求した器などを提案していたのです。

更に面白いなと思ったのは、その職人さんたちの多くは、会社から依頼された商品(例えば器、箸置き、急須など)を作ったことがない。技術は確かだけれど、あくまでも伝統的な諸々を作っていたまでであって(中には仏像だけを作り続けてきた銅職人さんも!)、その方たちにいきなり器を作ってほしい、などとお願いをするのです。

 

一見すれば、なんて無茶な、と思いかねませんが、変な話、彼らの確かな技術によって最終的には息をのむ美しさの器や急須や家具が出来上がるし、今まで道だった部分を引き出すことで、職人さんの可能性や活動範囲が広がり、その分野で新たな収入を得るチャンスが出来るのです。

会社側も、そうした職人さんの商品を売ることで、より多くの人に日本の伝統技術の素晴らしさを伝えることができ、伝統文化存続活動の一環として社会に貢献することはできるでしょう。

 

 

今までもそういう活動の一員にいた身として、それは将来も出来ないことではない。むしろ、最新の技術発展を支える優秀な人たちがたくさんいる一方で、伝統文化を守り伝えるって役割も大切なんじゃないかと。

それも、自然と人との関わり、という根本的な部分を見据えた上で、いつの時代も忘れてはならないこと、というメッセージを、細々とでもいいので発信していけたらいいなあ、と思っています。

 

 

 

わたしの今までの経験上、最も多い職歴は「食」に関することでありました。が、所属していた和菓子屋はすこし変わっていましたので、大学時代、卒論で研究対象となっていた「デザイン・工芸」の部分もしっかり担っており、住の部分にも目を向けた、面白い経験をさせていただけたなあ、と思っています。

 

 

 

が、この会社にいた頃、あるとき社長との面談で、こんなことを聞きました。

「ここで衣類・繊維用品を扱う予定はありますか?」と。

 

そうしたら彼は「いや、そのつもりはない。なぜなら、衣食住の「衣」の部分に関しては、すでに素晴らしいと思える人たちが多く活動しており、自分が参入するには足りない」と答えました。

 

 

なるほど。でもわたしはせっかくだから、衣食住すべてあっての生活を提案したいんだよなあ、とうずうずしていたのを覚えています。

和菓子とコーヒーについての質問もしたことがありますが、同じような理由で(+彼の深い信念により、日本食には日本茶、と決まっていた)そこで和菓子とコーヒーの組み合わせを提案することはできませんでした。

 

 

 

ここまで書いていて、やはりヴィジョンがふわふわとしているような気もしますが、今は特に「糸を紡ぎ、染め、織る/縫う/編む」という行為に強い興味を抱いているので、まずはその勉強をすべく、一歩を進める次第です。

 

 

日本でも勉強できるけど、やっぱり高いし、それにどうせなら海外の手芸学校にも行ってみたいな。デンマークのフォルケホイスコーレ(≒ 成人教育機関)も検討中。

なぜかって、リトアニアの染物の話を聞いていて思ったのだけど、こっちではハーブとかきのことか、食べられる・かつ医療にも使用される機会の多い植物が、染物にも使用されているって、なんだか興味深いなと思ったからです。日本では、栽培しないと手に入らない種類も多いけど、あえてそれを多く使ってみたいので、海外のほうがハーブ染のチャンスを多く得られそうな気がしてね。

 

でもまずは、いちばん長く滞在する予定のリトアニアで、こあきさんも書いていたWWOOF、やってみようと考えています。ちなみにWWOOF Lithuania は今年から始まったらしく、ホストが少ないけど登録料がありませんので、ねらい目かもよ。

わたしもまだちゃんとホストに直接メールしていないので、そのへんはいつか報告できればと思います。

 

 

また今後は、こちらの個人ページで、気が向いたときなどにつらつらと発信したいと思っていますので、興味のある方は覗いていただけると幸いです。和菓子活動はしないけどね。

 

nnkrxx.tumblr.com

 

 

 

 

 

最後になりましたが、ノルウェーでの生活を支えて下さったみなさま、ブログを読んでくれたみなさま、このブログを使っていいよと言ってくれたこあきさん、本当にありがとうございました。この場をお借りして、感謝の意を伝えさせてください。

 

人生、なんでも運とタイミング。何かの拍子にノルウェーに戻ってくることがあれば、そのときはぜひお声がけくださいね。

 

 

 

 

 


カノン from "Janis Crunch & haruka nakamura - 12 & 1 SONG " (Official Video)

 

 

 

ではでは、また会える日まで。

 

 

 

rie