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北欧暮らし。色んな人の色んな目線で。

rie - オスロでもっとコーヒーを楽しむ方法があったよ

どうも。rieです。

いや~~寒い。いつの間にか11月も終わりに近づいていますが、もうすっかり雪が降っちゃっています。いや、雨よりはいいんだけどね。

それに、空気がすっとする感じ、とてもいい。あれ、これ前も書いたっけ。

 

 

そうなると、最近は特にあったかいコーヒーを飲んで、ほっとしたくなる季節。

 

 

さて一番最初の記事でご紹介したように、わたしは「オスロのコーヒー事情(文化)を現地で体感したく」て、ここに住んでいます。

 

それは、今まで東京での生活と同じように、おいしいコーヒーやさんで好きな豆を選び、家で淹れて楽しむ、とか。

またはカフェでゆっくりする、とか。

働くことで現地の人のコーヒーへの関わり方を観察する、とか。

 

そういうことを、密かに楽しんできました。

 

とはいえ、今の勤め先はコーヒーメインのお店ではないし、オーナーはノルウェー人ではないにしろ、使用している豆はノルウェーでも最高品質を誇るであろう場所から卸してもらっているし、何よりお客様はノルウェー人が多い。

 

でも、喫茶店のようにこぢんまりした場所ではないし、出しているコーヒーの種類自体あまり多くないので、我ながらどこまでオスロのコーヒー文化に浸れているのかなあ、と疑念を抱いてはいました。

それに、ここまでずっと悩み続けていたこと、つまり「コーヒーは仕事か、趣味か」という問題にある程度の解決の光を見出していたところではありながら、もう少し「コーヒーと人の関わり方」を知りたいと思っていました。

 

 

加えて、来たばかりのころ、オスロのさまざまなコーヒーやさんにアタックしまくり、ことごとく惨敗してきたという黒歴史(?)を持つわたしにとって(しかもこれといって積極的に仲良くなろうという姿勢を持てない残念な性格ということもあり)、足しげく一流コーヒーやさんに通ったり、イベントに参加することは、あまりしてきませんでした。

 

 

でも先日ついに、お友だちに誘っていただき、初めてあるイベントへお邪魔したのです。

 

それは、カッピング。

 

 

ここでいうカッピングとは、数種類の豆の香りや風味などの違いを知るべく、主に一般向けに開催されているイベントのことを指します。

公式のカッピングよりゆるいと思います。堅苦しい評価用紙とかはないし。

純粋に、より多くの人にコーヒーの美味しさ、面白さを知ってもらいたい!という思いが強いのが、オスロのカッピングイベントの特徴だと思いました。

 

実は立て続けに2つのイベントへ行ったので、簡単にレポート。

 

 

まずは、東京でもお馴染みのコーヒー屋さんの本店、FUGLEN OSLO にて。

 

この日は、17種類もの豆が用意されました。そして、すべての情報(生産国、栽培・精製方法、煎り具合など)は知らされない状態から始めるという、ちょっとゲーム感覚の面白い方法。

 

ここでは、まず挽いた豆の香りを嗅ぎ、次にお湯を入れてクレマ(表面に出てくる、美味しくない部分)を取り除かれた液体を、スプーンでズズッと啜っていきます。

大切なのは、飲む、というより、啜ること。空気を一緒に含むことで、より風味や香りを感じやすくなるためです。ワインのテイスティングみたいな。

 

さすがに17種類もあると、全てが見事に違うということに気付きにくいなと感じた(連続した番号の豆の違いがよく分からなくなってくる)反面、あらかじめ紙が配られたので感想を書いて比較すると、あとで俯瞰することで明らかな違いを感じられることもできました。全部は書けてないけど。

 

最後に、それぞれの豆の正体が明かされました。わたしが気になったいくつかの豆は、まだ聞いたことのないロースタリーで焙煎されていたりして、新しい発見もありました。

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なお、今回のカッピングで参加者からの評価の良かった9種類を、今年のFUGLEN OSLO のクリスマスコーヒーとして販売するのだそう。面白いし、良い方法だなと思いました。

だって、お客さんにコーヒーに興味を持ってもらえるし、買ってくれる可能性も高まるし、それをクリスマスプレゼントに贈られた人が飲んで、よかったら今度は自分で買うかもしれないし・・というプラスな連鎖が起きる可能性もあるわけだ。

それに、ショップ側も、今どんなコーヒーがよく飲まれる傾向にあるのか、というマーケティング調査の役割も担っているし、更なるコーヒー伝播に一役買うでしょう。いやあ、色々な意味で面白いイベントでした。

 

 

そしてこの次の日、また別のカッピングへ。これは今年出来たばかりのワークスペース&カフェみたいなところ。

こちらではなんと、オスロコーヒーの先駆者的存在であるTim Wendelboe さんと、彼のロースタリーで活躍するBen さんが参加しているという、一般向けにしてはなかなか貴重であろうイベント。

 

この日の豆は、全て彼らのロースタリーで焙煎されたもの。

興味深いのは、Timさんは環境問題にも目を向けていること。そして、農作物であるコーヒーノキの栽培以前である土壌環境から気を配り、その時点から携わる人たちから消費者に渡る段階、つまり販売者であるカフェの人たちにまで、正当な価格で取引できるように努めていること。

その話を、Tim さんご本人から聞くことができてよかったです。

 

カッピングしたのは全部で8種類。今回は主にホンジュラス産コーヒーがメインでした。

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まず、豆それぞれの簡単な説明を受けた後、参加者が液体をすすっていきます。

一度だけでなく、すこし時間を置いて再度カッピングする、またはカップの順番を変えてカッピングすることで、味への印象が変わったり、液体自体の温度が下がることで風味がかなり違う場合もあるのが、コーヒーの面白いところ。

 

そして最後に、Timさんが自らがそれぞれをカッピングし比べ、ひとつずつ味や風味の解説をしていく、という流れでした。案外、パッケージに書いてあることと違う感想を言っていることもあって面白かった。やはり味覚は人それぞれだものね。

 

 

そういえばわたし、最初のカッピングイベントで啜ったコーヒーのうちのひとつが印象に残っており、最後のタネ明かしでそれがTim Wendelboeのクリスマスコーヒーだと知った。と思ったら、翌日の彼らのカッピングイベントにも同じものが。

 

そこでも何度か繰り返し味わい、ようやく出た結論、それは

 

「後味が昆布出汁」

 

まあ、おかしなことではありません。だって、コーヒーなのに紅茶みたいなって形容することもあるし、フルーツやスパイス以外にも、例えに出てくる食べ物っていっぱいあります(Benさんはある豆の後味を、抹茶キットカットだと言ってたし。ちなみにそれは啜ってみて、本当その通りだと思いました。また別の友だちは、ある豆をそばつゆみたいだって表現していたり。それは残念ながら分かりませんでした)。

 

で、それをTim さん本人に言ってみたところ、ややしかめっ面で、フーン面白いね、とのこと。実際どこまでそう思っているかは分からないにせよ、そういう謎の解釈までもを参加者が製造側に直接言える機会があるっていいなと思いました。

実は以前、一度ふたりでお話ししたことがあったのですが、その時はあくまでも彼が「バリスタ」としての立場であるときのことしかしなかったので、今回のように「プロデューサー」の 立場として話をしてくれたのは興味深かったです。

 

 

わたしは今まで、カッピング自体さほど体験したことがありませんでしたが、今回のイベントたちを通して、これはオスロならではの面白いコーヒー体感方法だと気づきました。

だって、

 

 

・そのときいちばん旬なコーヒーを数種類一気に試せて

・(大概)無料で飲めて

・誰かに言う事で体感したことをすぐにアウトプットできる(おそらく一人で参加していたとしても、他の参加者から「どの豆が一番好きだった?」とか聞かれる場面にしばしば遭遇しました)

・イベントによっては、製造者側に直接感想を言う事ができ、それらは彼らにとっても今後の参考になる

・しかもイベントで気になった豆は、その場で買えることが多い

 

 

ですもの。これほど「コーヒーを提供する側」と「コーヒーを飲む側」が強く結びつける機会って、日本ではまだそれほどない気がします。これはきっと、オスロならではだなあと。

 

 

いやあ、楽しかった。もちろん豆の収穫状況や焙煎期間などによって開催される時期は異なりますが、オスロでは比較的よくカッピングイベントが開催されているので、気になる方はぜひ足を運んでみてください。

 

 

最後に、今日のおやすみソング。

 


JFDR Boiler Room Reykjavík Live Performance

 

ではでは。

 

 

rie