rie - オスロで手に入る秋冬の食材で、和菓子を作ってみた
どうも。ちょっとご無沙汰な気分です。rieです。
昨日、夜の道を小走りしたところ、タイル部分がすでに凍っていたらしく、見事に滑ってしりもちをつきました。ケガなく済みましたが、尾てい骨に響いたよ。
というかもう、それくらい寒いということですね。朝は0度前後、日中は晴れれば10度くらい、という感じ。いつのまに。
本格的に冬の訪れがやってきましたが、まさか夜道があんなに凍っているとは思わなんだ。公園の草もシャリシャリしていました。今朝もキリがすごかった。
でもそういうの好き。あと月が好きなので、夜が早いのは案外苦ではありません。朝の光まで消えていくのは本当に恐怖だけど。
さて、最近ここに現れることのできなかった理由は、昨日とある式典に和菓子を提供させてただきまして。その準備に目下追われていました。
詳細はここでは控えますが、とにかく一人で作るのがしんどい数でした。でも、せっかくの機会、やはり和菓子を作る身として、旬の食材を使わない手はない、とスーパーを連日めぐり歩きました。
もう暦の上でも冬とはいえ、まだ11月。晩秋の香り残る季節、日本でおなじみの食材がノルウェーでも手に入らないものかと探した結果。
カボチャ
イモ
栗
和菓子で使えそうな食材として、主にこの3つを見つけました。
が、
カボチャ:移民系のスーパーで安く手に入れることができ、早速餡にしてみましたが、なんだか水っぽい。そもそも、いわゆるそうめん南瓜みたい。
出来上がったあんこは、ほくほくしたそれではなく、なんだかジェルのような不思議なものでした。まずくはないんだけどね。あと野菜!って感じの臭みがどうしても抜けない。
ちなみに、ノルウェー系のスーパーには、ハロウィンが近づいていたこともあったのか、立派なカボチャをいくつも見かけました。お値段は、移民毛スーパーに比べたらあどうしても高いのですが、たしかにこちらのカボチャは、いわゆる日本のカボチャに近かった。こちらなら、カボチャあんが出来ます。
11/11 追記:別のアジア系食品店にて、ノルウェー産カボチャを安く手に入れることができました。記憶が定かではないですが、1キロあたり19kr とかだったような。こちらで作ったカボチャあんは、黄色いきれいな、そしてホクホクのかぼちゃあんを作ることができました。嬉。
イモ:søtpotat という名前で、これまた移民系スーパーで購入。見た目はほとんどサツマイモです。
しかし切って中を見たら、めっちゃオレンジ。おまけに、すこしシャリっとしている様子です。でもあんこにはできました。やはり野菜臭さは抜けないけれど、そうめん南瓜のより断然おいしいです。
栗:これまた移民系スーパーにて。コンテナにばさーっとはいっているので、一つずつ状態を確認して購入できます。どの野菜も大体そうですが、量り売りなのがいいところ。
これを一度煮て、鬼皮と渋皮をむきます。点心甘栗のようなものはまず売っていないので、イチから加工する必要があります。
さらに個体によって虫が入っていたり、劣化が進んでいることもあるので、ひとつひとつ確認する作業を要するため時間と忍耐力がある場合のみオススメします。
という感じ。だいたい移民系スーパーに行けば、ちょっと日本人にも親しみのある食材に出会える率が高まるので、これからの冬には白菜やホウレン草を買って鍋をしたり(土鍋じゃないけど)、根菜が豊富なので煮物を楽しむのもいいですね。ああ~ほっこり。
ノルウェー系スーパーは大概の野菜が高いですが、カボチャなど一部質や種類に違いがあったり、スーパーならお買い得商品が頻繁に変わるので、どちらもチェックするのがいいかも。
あ、特筆すべきこととして、柿も売っています。英語でPersimon と書いてある場合と、なぜかKaki とだけ書いてある場合があります。味も気になるけれど、干し柿の方が好きなので、まだ試していない。あとは、ザクロとかも今度試してみたいなあ。
というわけで、昨日のお菓子には栗を使うことに決定。
しかし、あまりにも量が多かったのと、思ったよりも虫食いの数が多くて大変苦戦しました。そんなわたしの様子を見かねた料理人の友達が、皮むきと当日のお菓子の成形を手伝ってくれたよ。いやはや、ほんとうにありがとう。
いやあ正直、間に合わないと思ったけれど、なんとかなってよかったです。栗が足りない!と連日のように栗を買いに行っては、夜な夜なむいて。次の日はあんにして濾す作業もあって。
鬼皮から処理する栗仕事、なかなか手間がかかるのですが、それでも口にした時のなめらかさ、素朴な甘さ、そしてこれが浅煎りのコーヒーにも合うのです。
あ、今回うれしかったのは、思いがけずオスロの有名なコーヒー店と一緒にお菓子を提供できたこと。お菓子を決めた段階では知らなかっただけに、とても感激しました。
実は過去に、そのコーヒー屋さんで面接を受けたことがあったので、昨日の会場でボスと再会したときは、思わずニヤニヤしてしまいました(といっても挨拶程度で、特に話すタイミングもなかったのですが、あのとき雇われなかったわたしが、まさかまだオスロにいて、しかもわたしの和菓子と彼のコーヒーという組み合わせを提供するということに、彼はさぞびっくりしたことでしょう。しめしめ ← 腹黒)。
それはともかく、さすがバリスタの方はとても気を使ってくださり、コーヒーとお菓子を一緒に出すためにタイミングを教えてね、と言ってくれたり、ひとりずつお菓子を味見しに来てくれたり(かわいい)、コーヒーを配りに来てくれたり、トレイを一緒に下げて新しいお菓子を運んでくれたり、スーパーやさしくて感動しました。うう。
ちなみに、昨日はこんなお菓子を提供しました。
和菓子、特に生菓子には菓銘をつけるものなのですが、これは「霜降る」と名付けました。だいたい凝った言い回しは思いつかないので、単純かつ分かりやすい、でも季節や日々の様子を感じ取ってもらいやすい名前を心掛けています。
外は完全に栗と砂糖のみ。前回の一時帰国でたっぷり持って帰ってきた甜菜糖を使用し、しつこくない甘さに。今度改めて、和菓子の材料のひとつとして砂糖を紹介したいと思いますが、甜菜大根からできたこのお砂糖は、体を温めてくれるんです。
で、写真では見えないけれど、中には錦玉羹入り。寒天に甜菜糖と有機黒糖、そしてアクセントとして、北欧のお菓子やパンづくりに頻繁に使用されるスパイス・カルダモンを加えました。
わたしはスパイスも木の実や果実のひとつとして、和菓子との相性が大変良いと思っています。ほかにもエルダーフラワー、ペッパー、シナモン、ラベンダーなどをしばしば使っています。これも、和菓子をぜひコーヒーに合わせてほしい理由の一つかもしれません。
上から削ったのは、氷餅といって、長野県の伝統食品らしい。餅を乾燥させて、棒寒天みたくして保存するのです。これを水で戻すと立派なお餅として頂くこともできるし、和菓子では仕上げとして、このように削ることもあります。
実は、ノルウェーはじめヨーロッパ諸国でよく見かける、チーズ削り器で削りました。ハハ。見えないところでノルウェーとのコラボ。
それから、実はナッツアレルギーの方向けとして、生姜羊羹もつくりました。写真ナシでスミマセン。白あんベースの甘さ控えめ水羊羹に、蜜漬けしたすりおろし生姜を加えました。
それにしても、ノルウェーでも生姜を売っているのはよく見るけれど、果たして何に使っているのかは、いまだによく分からない。今回みたいにすりおろして蜜漬けにするわけでもないし、料理に使っているのはまだ見たことがありません。お茶とか、ジンジャークッキーとかかなあ。気になります。
実は昨日、お客さまのうち数人から「ブログみています」と言っていただいたので、改めて昨日のお菓子紹介をしてみました(いつも見て下さり、ありがとうございます)。
いやあとにかく、ノルウェー人の方にも、日本人の方にも「おいしい!」と言っていただけたのが、何よりの喜びでした。あれだけ苦労して作ったお菓子だっただけに、喜びもひとしお。
見た目にも面白く、やさしい味わいで、コーヒーにも合う。そんな和菓子をぜひ、もっと多くの方に体験してほしいなあ。
というわけで、最後にちょっとした告知を。
以前、こあきさんにちょろっと紹介していただきましたが、11/18のレストランデーにて、現役バリスタのお友達と一緒に和菓子を出す予定です。わたしはたぶん、どら焼きを作ります。
そこでもめげずに、栗餡どら焼き、やりたいと思っているので、今回のお菓子を食べ逃した!という方(が、万が一オスロにいらっしゃいましたら)、是非とも遊びに来てください。コーヒーとどら焼きを片手に、初冬のオスロ散策を楽しまれてはいかがでしょうか。
わたしの和菓子プロジェクトである「sumiya - すみや」と、コーヒープロジェクト「Klokka(=ノルウェー語で時計という意味)」のコラボ出店です。
場所、日時はまた改めてお知らせできると思います。ぜひ、頭の片隅にでも覚えていてくだされば幸いです。
秋冬は、和菓子のイベントがたくさんできていて、嬉しいなあ。なかなか時間が取れなくてバタバタしていますが、よろしくお願いします。
最後に、今日のおやすみソング。って、あまりおやすみじゃないけど、人生気楽にいったろ~って思える曲です。そんなわたしはSpotifyよりSoundcloud派。
ではでは。
rie