rie - オスロでまた和菓子ワークショップを開催しました
どうも。rieです。
実は帰国してから昨日まで働きづめでした(って自分でもよく分かっていなかったので数えたけど、実に9日ほど・・・)。
そりゃ、仕事中に眩暈もするし、こっちの14時ごろに眠くなるよね=日本時間では夜なので。
このところ、深刻な人手不足による規定勤務時間をちょいと超えているのでは?と思わしきシフトと奮闘していたのですが、来週はすこし落ち着いていました。
というより、同僚が限界を感じてオーナーに文句を言ってくれたらしい。わたしも今夜メールを送ろうと思っていただけに、大感謝です。
正直、今や世界一幸せな国ともいわれるノルウェーに来てまで、これほどヒーヒー言いながら働くことになろうとは(言葉の壁などはともかく、職場の環境面で)想像もしていなかったので、なんとなくワーキングホリデーのわりに働いてばかりなのが残念ですが、いや年末で契約が切れるのだ、そうしたらわたしはもう働かないぞ!と決めているので、まあまあ頑張れています。
それでも、日本より働いている時間は明らかに短いのだけどね。そう思うと、日本の労働環境は今のところ暗闇でしかないなあ。それが改善されれば、安住したい気持ちがまた生まれると思うのだけど。こういう話はまた今度。
それ以外に、ここのところわたしを怯えさせていた(笑)イベントが、今日行われました~。
そう、オスロで和菓子のワークショップ第二回目を無事に開催することができました。ぱちぱち。
今回は、友人で華道家の尾崎霞洋さんにお誘いいただき、生け花と和菓子を楽しんでもらうという、日本の伝統的な趣たっぷりの内容となりました。
とはいえ、わたしと彼の共通している概念のひとつには、日本の伝統文化をより身近に感じてもらいたい、ということ(だと思っている)。
彼のページには、すてきな作品がたくさん載っていますので、ぜひともチェックしてみて下さい。
https://www.facebook.com/ikebana14kahiro/
この夏、イベントや活動を何もしてこなかっただけに、こうしたお誘いをいただけたことは喜びにほかなりませんでした。
そうはいっても、以前より口を酸っぱく(する必要はどこにもないのだけど)してきた通り、わたしは言葉の壁をとんでもなく高く感じている。前回は翻訳付きでやらせてもらったほど。
が、今回は元々ふたりでやる、という心強さもあり、なんとか自分の力でお伝えすることができました~。ホッ。
というより、絶対的に前よりは、英語で話すという事に抵抗なくなってきているなあ、このことはまた後日、記事にまとめてみたいと思います。
ということで、ざっくり内容をレポートします。
前半は、生け花編。
尾崎さんが生け花の基礎のひとつである「剣山(けんざん)」を用いたお花の生け方を。
恥ずかしながら人生で一度も自分で生け花をしたことのないわたしは、そばでガン見させていただきました。
野生の紅葉した枝と、菊?カーネーション?(← 聞けばよかった)を順番に生けていく。
長さや角度、とても正確に決まっているようです。びっくりしたよ。こんなにルールがあるのね。でも、それがあの素朴な美しさを醸し出すのなら納得。
今回の生け花の土台となる剣山ですが、江戸時代以降に確立したのだそうで、わたしが予想していたよりも歴史が浅いことにも驚きました。もっと前、茶道が確立した時代からあるのかとばかり。
細かく丁寧に指導される尾崎さんと、真剣なまなざしで取り組む参加者のみなさまを見ていて、なんだか嬉しくなりました。
西洋のフラワーアレンジメントとは正反対の、いわば「引き算の美学」に魅了されていた様子。ムズカシイな~~と唸りつつも、みなさまステキな作品の仕上がりに満足されているようでした。よかったあ。
そして後半、和菓子編。
わたしは前回の和菓子ワークショップでの反省を踏まえ、今回はあらかじめ英語・日本語のレジュメを用意して参加者の皆さまにお配りしました。前回は翻訳任せだったからね(いやあ、大いに反省しています)。
そうしたら、先にじっくり読み込んでくださったのと、後で振り返れるからいい!と好評でした。
こんな感じで。
作業衣として、または人前で和菓子の作業するときも、このリネンコートを羽織っています。するとなぜかウケがいい。今日も褒められました(得意げ)。
コートなら下にセーター着ていても、ホコリが飛びにくいからね。夏はめちゃ暑いんだけどね。
今回のワークショップでは、きんとん菓子を。
ここでいうきんとんとは、おせちでよく見かける黄色いアレとは違います。餡をそぼろ状にし、あん玉の周りにくっつけていく。それだけ。
だから簡単だし、発想力次第でいろいろな楽しみ方が出来るし、和菓子の基本ともいえる餡子をご賞味いただける良い機会だな、ということでこちらにしたのでした。
と、ここで懸念事項がひとつ。
ノルウェー人(及びノルウェー在住外国人)は箸が使えるのか問題
そう。そぼろ状にしたあんこをくっつけていく作業には、お箸の使用が最善方法といえます。手などでつまむと速攻つぶれて、ただのあんこに戻ってしまいます。
しかしわたしは以前、見たのでした。
レストランなどで、ノルウェー人が実に器用にお箸を使っている姿を。
それも一度や二度ではない。和風レストランなどのテラス席で寿司を箸でつまむノルウェー人や、アジアンレストランにて、お箸で麺をすするノルウェー人。みんなどう見ても普通の人。スプーンやフォークを代用している人をほとんど見かけることのないほど。
こちらに来てから知ったことだったので、初めて見たときはとても驚きました。
というわけで、大丈夫だろうと予測してお箸をお渡しし、作業に臨んでいただきました。
ひとり「わたしお箸苦手なのよ~」と言っていたおばさまですらも、やはりきちんとあんこをつまんでいました。いやはや。すごいねえ。
伝統的な道具は、普段から実はあまり使用していません。家で気軽に作って楽しんでもらえることも、わたしの活動の目的のひとつだったりするので。
こし器の代わりに、普段から皆さんがおうちで使用しているようなザル、茶こしの2種類を用意し、そぼろの太さを変えて質感を楽しんでもらえるようにしました。
ちなみに今回の餡の色は、黒(小豆こしあん)、白(白こしあん)、緑(白あん+抹茶)、黄(白あん+黄身卵)、ピンク(白あん+ビーツ)です。
ビーツは天然着色料として大変重宝しています。人口着色料などは極力使いたくなかったし、前回はアイシングクッキー用の着色料で試してみたけれど、けっこう色が強いのも気になっていたので。
前半の尾崎さんの丁寧なやり方とは正反対に、最低限のことしか説明せず、あとはご自由にドウゾー!なスタイルで若干みんなを困らせましたが、作業をしながら雑談タイムができたりしたのはよかったかもしれない。
でも、何も言わなかったわたしも悪いのだけど、作ったお菓子を、お腹がすいたからと速攻たべてたのにはびっくりしました笑。自由。
いちおう資料には、お菓子の名前(菓銘)をつけましょうって書いてたけどね。ま、いいんだけどね。
ここで、もうひとつ懸念していた「ノルウェー人(及びノルウェー在住の外国人)にあんこはウケるのか」という問題にさしかかりました。
というのも、こちらの人たちにとって、豆は主食のひとつ。ふつうは白などで味付けをし、料理に使うものであって、ほとんど砂糖を加えることはありません。
そんなお豆と砂糖から作られた餡子、彼らにとっちゃどんなものなのか?
食べてもらったところ、はじめは「質感が豆ってのが不思議・・」と若干戸惑っていた様子。しかし食べ進めるうちに「だけど、甘すぎなくておいしい」「材料もシンプルだし、ヘルシーでいいね」といった、前向きな感想をいただけました。ありがたや。
あと「見た目が完全にマジパン」という意見も。そうです。前回の和菓子ワークショップ(と何度も書いているので、気になる方は是非こちらを読んでみてください)では、ノルウェー人の参加者のみなさまの作品がまるでマジパンケーキのようであったことを、わたしは忘れていませんでした。いや、あれは着色料の問題もあったと思うけど(言い訳)。
でも、マジパンっぽくても技法の違い、着色、形やコンセプトの決め方(特に、禅の思想に基づいた季節感、日々の情緒へ思いを寄せる、ということ)などは興味深い点だと思いますし、それを今日のワークショップで少しでも感じ取ってもらえたら、大変うれしいなあ。
とにかく、今日はとっても和やかに、楽しい時間を共有することができたと思います。
ご参加くださったみなさま、誘って下さった尾崎さん、協力してくださったみなさま、ありがとうございました。
ちなみに、本日会場としてお借りしたKroloftet は、ワーキングスペース、シェア工房スペースとして開放されている、とても面白いところでした。
そこで働いている人たちとも会えたり、本格的な道具がそろているので創作活動ができるのもいい。電気釜があったので、陶器が焼けるよ。やってみたい。
ここです。
そんなこんなで、バタバタと準備したワークショップも、あっという間におしまい。
今日参加してくださったみなさまも、またやってほしい!と言って下さったので、出来たら嬉しいなあ。
とはいえ、わたしは教えるのは苦手だから、一緒に手を動かしながらお喋りするつもりでやるけどね。
ああ、それにしても、今日はとても寒かった。
ではでは、今日のおやすみソング。
Kristín Anna Valtýsdóttir at the piano
ではでは。
rie