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北欧暮らし。色んな人の色んな目線で。

トナカイ -序章-

こんにちは、akieです。

こあきさんが農業、環境に興味があるとのことで、私もランドスケープアーキテクチャーを勉強していてかじったので早速いろいろお話してきました!

異業種だけどこういう話ができるの、すごく嬉しいです。

 

デザイナーとかアーキテクトって、いかにも’専門’で世界違そうとか思われることありますが、そんなことありません。

 

思いを形にする専門家、

 

であって、足を踏み入れるフィールドは多様です。住宅、企業、飲食、観光、交通、、

形にするにはその背景を理解しないといけません。

どれくらいの人、どのような人がその形を使うのか、はもちろん、

その形を通して何を伝えたいのか、

住民同士のコミュニティのあり方、環境に配慮した企業方針、新鮮な食材にこだわった味、、、ざっくばらんな例ですが。笑

そのためにいろんな立場の人から話を聞いたり、もしくは商品を実際に使う、味わう等、を建物を実際に立てる土地を中心にしたリサーチとともにするのが面白いところだと思います。まあ実際には企画開発部のようなところが主にリサーチして建築家はそれを受けてあーだこーだやりとりしながら設計図等を描いてくかんじがほとんどなんだろうけど。

とにかく、他種との共同作業としていろんなことに首を突っ込み、最終的にいろんな人に新しい、そして心地よい体験をしてもらうこと、それが醍醐味なんじゃないかなと。

 

私がランドスケープアーキテクチャーに進むきっかけになった教授がよく言ってました。

 

’丸か四角かなんてどうでもいい。世界をつくること、それが楽しくてやめられない。’

 

 

前置きが長くなりましてすみません。トナカイの話に入ります。

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'REINDEER (トナカイ)'

は私の修士設計のテーマでした。なぜランドスケープアーキテクチャーでトナカイなのか、と言うと、

もともと田舎に興味があって、特に北極圏トロムソに1年いたこともあり、北のほうの自然に対して何かできないかと漠然に考えていました。でももちろんむやみに新しい建築物を開発するのではなく、ランドスケープ、つまり風景とは、自然とはなんなのか、ということを考えるためのプロジェクトをしたかったんです。

 

私が考えるに、

ランドスケープアーキテクチャー=人と自然(外部空間)の関係性

です。

つまり、ちょっとした公園も、街中の街路樹が植わりベンチが置かれたストリートも、そして山道の途中にぽつんと置かれた駐車場兼展望台も、ランドスケープアーキテクチャー。

それらが人の行為と自然(山、木、岩、、)の関わり方を考えたものであれば、そう呼べる、気がします。

 

そのランドスケープアーキテクチャーをデザインする者=ランドスケープアーキテクトとして、その意味を追求したプロジェクトとして、トナカイをテーマに選びました。

 

トナカイは(野生を除いて)主に北極圏で少数民族により放牧されています。

それはその民族たちの中で昔から伝わる’生活’です。自然の現象にしたがうトナカイたちを最低限コントロールしながら、自分たちもそれにしたがい移動生活をする、つまりノマドです。

北欧では今でこそ彼らのほとんどは定住住居をもち生活していますが、1ヶ月ほど冬小屋で過ごすこともあるそうです。

トナカイは食用として処理されるほか、角、骨、皮もいまだ伝統衣装や、インテリア用品等の生活用品をつくるのに使われます。

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あえて上で’伝統的な生活’と言わなかったのは、そのノマド生活が世界の近代化の影響を大きく受けているからです。今のところ、’伝統的でかつ現代に適応した生活’といった方が良さそうです。

その影響とは、例えば、道路開発や炭鉱等の採掘場の整備などによって、トナカイ放牧のエリアが侵略されたり、地球温暖化によって雪が凍ってしまいトナカイが餌となる植物を掘り起こせない、また彼ら自体少数民族であり、開発反対等の声をあげるのが難しかったり、などなどあげたらきりがないほどです。

 

彼らの生活はまさにランドスケープ、人と自然の関係性を凝縮したものです。

それは伝統的にはポジティブだけれど、現代的にはネガティヴで、

つまりいいことばかりではありません。

 

私はそれをアーキテクトとして、形にしたいと思ったのです。

緑が足りない街に公園を設計するような、いわゆる問題を空間で解決するのではなくて、

ある存在の価値を高め、問題提起をすることで、私たちの存在する世界をみつめなおすということ。

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要するにトナカイについて、その放牧生活が今現在どんななのか、そしてそれがいかに私たちから影響を受け、また私たちの生活にも関係しているか、を本にし、それをもとにした展示をするというプロジェクトにしたんです。

 

そのツールとしてのフォトグラフィー、作詩、本のデザイン、展示空間設計をしました。リサーチとして北ノルウェーのサーミ族の放牧民のお家に2週間ほどホームステイし、ひたすら写真を撮りまくる、ということもしました。

下記、ホームステイを受け入れてくれたRein Passionさんには本当に本当に本当に、お世話になりました。

https://www.facebook.com/Rein-Passion-1649712091909526/?ref=br_rs

 

アーキテクトとして、空間をbuildするというよりも、

知識をbuildする、

というのがプロジェクト'REINDEER (トナカイ)'です。

 

ただ一学生のプロジェクトというだけで終わらせたくなくて、これをきっかけにいろんな人にトナカイに興味をもってもらえたらと思っています。そのためにもせめてこの約200ページほどの本だけでも外に出せたらと企んでいます。笑

 

すみません、プロジェクト背景の説明で長くなってしまいましたのでここら辺で。。

トナカイについてはまた詳しくかかせていただきたいと思います〜。